COLUMN コラム

屋根塗装の選び方 ~種類によって違う耐用年数、遮熱・断熱効果~

屋根塗装で使われる塗料には、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機など、いくつもの種類があります。塗料ごとに耐用年数や価格帯、仕上がりが大きく異なるため、「どれを選べばいいのか分からない」というお悩みは少なくありません。さらに近年は、夏の室温上昇を抑える遮熱塗料や断熱塗料も登場し、選択肢がより広がっています。
今回のコラムでは、屋根塗装でよく使われる主要塗料の特徴と耐用年数をわかりやすく比較し、それぞれがどんなお住まいに向いているのかを整理しましたので、屋根塗装の塗料選びの参考になさってください。

目次

屋根塗料の種類と特徴、耐用年数を比較

屋根塗装で使われる塗料は大きく「アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機」の5種類があり、それぞれ耐用年数、価格帯、仕上がりの質やメンテナンス周期が異なります。

こちらではまず基本的な違いを簡単にご紹介します。

 

■アクリル塗料 耐用年数:5〜7年

特徴:

・もっとも価格が安い

・発色は良いが紫外線に弱い

・屋根にはほとんど使われない(耐久性が不足)

 

■ウレタン塗料 耐用年数:7〜10年

特徴:

・価格は比較的安い

・柔軟性があり細部に塗りやすい

・屋根に使用する場合、耐久性で物足りないことも

 

■シリコン塗料 耐用年数:10〜13年

特徴:

・最もバランスの良い塗料

・価格と耐久性のバランスが優秀

・多くの住宅で採用される“標準的な屋根塗料”

・コスパで選ばれるケースが多い

 

■フッ素塗料 耐用年数:15〜20年

特徴:

・紫外線に強く、汚れにくい

・高耐久・高品質でメンテナンス頻度を減らせる

・価格は高めだが長期的には費用対効果が高い

 

■無機塗料 耐用年数:20年以上(製品により差あり)

特徴:

・無機物を多く含むため紫外線に非常に強い

・劣化しにくく、耐候性はトップクラス

・価格は高いが“とにかく長持ちさせたい”場合に最適

 

 

このように、塗料によって耐久性や価格帯には大きな差があることがお分かりいただけたかと思います。

しかし「耐久年数が長いから良い」「価格が安いからお得」というだけの差ではないのも実情で、塗料が本来の性能を発揮するかどうかは、屋根材の種類・下地の状態・施工品質によって大きく変わることがあるためです。

たとえば、同じ塗料を使っても

 

・スレート屋根か金属屋根か

・下地が劣化しているかどうか

・適切な補修がされているか

 

といった条件で、実際の耐用年数は大きく変わります。

 

そのため、塗料の特徴だけで判断するのではなく、ご自宅の状態と照らし合わせて選ぶことが重要です。

猛暑続きの夏対策 遮熱塗料・断熱塗料の効果とは?

夏の暑さが年々厳しくなり、「2階や屋根裏部屋がとにかく暑い」「エアコンが効きにくい」といった悩みが多くなっていますが、そんな“猛暑対策”として注目の「遮熱塗料」と「断熱塗料」について、効果と違いをご紹介します。

 

■遮熱塗料(太陽光を“反射”して屋根の温度上昇を抑える)

太陽光の中でも熱エネルギーの大きい「近赤外線」を反射させることで屋根表面が熱くなりにくく、天井裏の温度上昇を軽減。

 

<期待できる効果>

・夏の室内温度が上がりにくくなる

・エアコンの冷房効率アップ

・電気代の節約につながる

・屋根材の熱劣化を抑え、寿命が延びやすい

 

<注意点>

・濃い色ほど遮熱効果が弱まる

・冬の暖かさにはほとんど効果なし

 

■断熱塗料(熱を“伝えにくくして”暑さと寒さの両方を軽減)

特殊なセラミック等で「熱の伝導」を抑え、外の熱を室内へ伝わりにくくする

 

<期待できる効果>

・夏の暑さを軽減

・冬の冷えも緩和し、年間を通して快適

・建物全体の断熱性がわずかに向上

 

<注意点>

・遮熱塗料より価格が高いことが多い

・建物の断熱性能が低い場合は効果が感じにくいことも

・製品ごとに性能差が大きいので選定が重要

 

 

そして、「遮熱」「断熱」どちらが猛暑対策に合うかは住宅の状況や条件にもよります。

“夏の暑さ対策だけ”を考えるのであれば、まず候補に上がるのは遮熱塗料です。

特に以下のような住宅では効果が出やすい傾向があります。

 

・2階・屋根裏がとにかく暑い

・金属屋根で熱を持ちやすい

・家の周りに日差しを遮るものがない

・南向きの屋根面積が広い

 

一方で、「夏も冬も快適にしたい」「冷暖房費を年間で抑えたい」という方には断熱塗料も適しています。

 

ただし、いずれの塗料も万能ではなく、

 

・屋根材

・立地条件(日当たり)

・建物の断熱性能

・施工品質

 

などで効果の表れ方が大きく変わります。

猛暑の影響を少しでも減らすには屋根塗装に詳しい業者に相談することをお勧めします。

失敗しない塗料選びのポイント~判断基準を解説~

塗料選びで失敗しないためには、塗料の種類や機能を理解したうえで「自宅にはどの塗料が合うのか」を判断することが大切です。

 

ポイント1:屋根材との相性

ストレート、金属、セメント瓦など屋根材には種類があり、塗料ごとに密着性や耐久性の出方が違います。 たとえば、金属屋根は熱を持ちやすいため遮熱塗料の効果が出やすい一方、スレート屋根では耐候性の高い塗料を選ぶなど、組み合わせも一つの基準となります。

 

ポイント2:塗り替えの考え方

定期的に10年ほどで塗り替えたいのか、10年以上・できるだけ長く持たせたいのかによって、選ぶべき塗料は変わります。シリコン塗料はバランスが良く、フッ素や無機塗料は長寿命ですが費用が高めです。 初期費用と将来のメンテナンスコストをどう考えるかが判断ポイントになります。

 

ポイント3:お住まいの環境

日当たりが強い地域や遮るものが少ない立地では、紫外線対策として耐候性の高い塗料や遮熱塗料が向いていますが、あまり陽が当たらず樹木が多い環境では苔や藻が付きやすいため、雨や湿気に強い塗料がおすすめです。

 

このほかにも、「屋根の形状や勾配」「周囲の建物との位置関係」などによっても塗料の劣化スピードは変わります。

このような条件は塗装業者が現地調査で判断するため、実際の状態を確認、家に合った塗料を提案してもらうのが最も確実です。

塗料選びで失敗しないためには、現地調査によって状況に応じた塗料選びをサポートしてくれる専門業者に相談しましょう。

まとめ

屋根塗装に使われる塗料は種類が多く、それぞれに耐用年数や価格、向いている住宅環境が異なります。

どの塗料を選ぶのが正解かは、お住まいの屋根材・立地条件・メンテナンスの考え方によって変わるため、まずはご自宅の状況を正しく知ることが大切です。

今回ご紹介したような、遮熱や断熱などの機能性の高い塗料もありますので、「どの塗料を選べばいいのか分からない」「自宅に合うのはどれ?」という方は、ぜひ一度プロに相談してみてください。

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